きさらぎ駅は現在では都市伝説として有名ですが、元は掲示板サイトに書き込まれた「体験談」が発端となっています。この体験談がインターネットを通じて急速に広がり、今では多くの人々が興味を持つ都市伝説になったという訳です。初出は2004年とだいぶ古い話になりますが、ただ実は現在でもいわゆる「きさらぎ駅」の報告は続いており、そのたびに考察や検証が更新されているのです。
そこで今回は、そんなきさらぎ駅についての最新情報や新たな考察などをご紹介したいと思います。きさらぎ駅にまつわる都市伝説の真相や背景、そしてなぜ多くの人々をここまで魅了し続けるのか、その魅力や影響力についても考察していきたいと思いますので、ブームの頃を振り返りつつさっそく見て行きましょう。
きさらぎ駅とは
都市伝説というものは、一度聞いたら忘れられないくらい心に深く残るものです。その中でも「きさらぎ駅」という名前は聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。きさらぎ駅は2004年1月、当時話題となっていた巨大掲示板「2ちゃんねる」の実況スレ(身のまわりで変なことが起こったら実況するスレ)にて、【はすみ】という人物が奇妙な体験を実況し始めた事が始まりとなります。
この実況スレの中に登場する奇妙な駅が「きさらぎ駅」という訳です。きさらぎ駅は、異世界との繋がりがある廃墟化した駅であるとされ、その駅の存在自体が都市伝説の題材となっています。きさらぎ駅に関する報告は現在でも確認されており、その不気味な噂は現在でも波及し続けています。実際、この話を元にした映画や書籍などもいくつか存在している。
またこの話の実況者である「はすみ」がその後どうなったのかがわかっていないのだが、この事がネットの民の妄想を掻き立てる要因となっている。きさらぎ駅とは何なのか、はすみはどこに行ったのか、異世界は存在するのか、そんな議論が巻き起こる度にきさらぎ駅は引き合いに出され、現在でもこの都市伝説についての考察が絶えないというわけだ。
きさらぎ駅の内容と流れ
2004年1月8日、インターネット掲示板2ちゃんねる(現:5ちゃんねる)のオカルト板のスレッド[身のまわりで変なことが起こったら実況するスレ]にて、「はすみ」を名乗る女性からリアルタイムで相談が寄せられました。実際の投稿内容は割愛しますが、詳細は以下のような流れとなっています。
1.2004年1月8日、身のまわりで変なことが起こったら実況するスレ26にて、はすみを名乗る人物から初めての投稿があった。(当初はすみは匿名であった)はすみは始めに「気のせいかもしれませんがよろしいでしょうか?」と前置きしつつ、関東地域にて通勤に使っている電車がいつまでも停車しない。車窓から見える風景も見覚えがない。と実況し始めた。この時、既に午後11時を回っていた。
2.ここまでの投稿に対してスレ民は、寝過ごしや電車の乗り間違えを指摘していたが、次第に状況が変わってくる。はすみ自身も当初は乗り間違えを疑っていたが、明らかに可笑しな雰囲気に不安を感じるようになっていった。やがて電車は長いトンネルを抜け、やっと駅に停車した。
3.停車したのは無人駅だった。駅名は「きさらぎ駅」と読めますが、はすみは聞いたことも見た事もありませんでした。不安に思ったはすみはスレ民に降りるか問いますが、結局その駅に降りてしまう。はすみは乗り間違えたのかと思い反対方向に向かう電車に乗り込もうとしたのです。ですが反対方向のホームが見当たりません。そんな事をしている内に乗ってきた電車も行ってしまい、はすみは一人駅に取り残されてしまう。
4.はすみはタクシーやバスを探す事をスレ民に伝え、ありがとうございましたと伝え締めくくった。ただこの時には既にスレ内がざわついていた。はすみが言った「きさらぎ駅」という駅は、ネットの住人にも場所が特定できなかったのです。つまり「きさらぎ駅」という駅はこの地域に存在しなかったのです。
5.そんな時、はすみからまた投稿がありました。はすみ曰く、きさらぎ駅の周囲にはタクシー乗り場どころか民家もなく、周囲は真っ暗で何もないと言うのです。この時はすみは家族に迎えを頼んだが、やはりきさらぎ駅の場所がわからないと言われてしまう。電話は繋がるが、なぜか位置検索は機能しなかったという。
6.どうしようもなくなってしまったはすみは、線路を辿って引き返すことにします。周辺の様子は山や森に囲まれているようでした。線路を歩いていると遠くの方で太鼓の音や鈴の音が聞こえてきたと言います。次第に恐怖を感じきたはすみは、振り返る事ができずひたすら線路を引き返したと言います。
7.そんな時です。はすみの後方から声がしました。はすみは駅員さんに注意されたのかと思い振り向いた。ですが、そこにいたのは片足がないおじいさんでした。ただこのおじいさんはすぐに消えてしまったというのです。恐怖するはすみに奇妙な鈴や太鼓の音がだんだん近づいてきます。はすみは懸命に通ったであろうトンネルを目指しました。
8.やがてはすみはトンネルの前にたどり着いた。トンネルには「伊佐貫」と書いてあった。はすみは勇気を出してトンネルを抜ける事を決意し、トンネルを抜けたらまた投稿すると告げた。約20分後、やっとの思いではすみはトンネルの出口付近に辿りついた。ただすぐに可笑しな事に気がついた。トンネルの先を見てみると、出口付近に人が立っているのです。
9.この時、既に時間は午前3時、スレ民はその人物に警戒するように伝えます。が、はすみはその恐怖心からその人物にすがってしまう。ただこの人物は親切であったという。脅えるはすみを近くの駅まで車で送ってくれると言うのです。この際、はすみはこの人物に現在地を聞くのだが、静岡の「比奈」だと言われる。ありえない場所であった為、はすみはさらに質問を続けるが、その人物はだんだん話してくれなくなる。
10.車に乗り込み一安心したはすみであったが、なぜか車は先ほどより山の方へ向かっていきます。この辺りから謎の人物の様子も変わってくる。その人物は壊れたように訳のわからない独り言をつぶやき始めたと言うのです。さらにはすみの携帯のバッテリーがピンチになってしまう。そして、最後にはすみは掲示板に「隙を見て脱出する」と言い残し、それ以降、スレにはすみが姿を現す事はなかった。
きさらぎ駅の最も有名な後日談
この投稿が話題となりインターネットを通じて急速に拡散された。そして、当初は体験談だった物語がいつの間にか多くの人々が興味を持つ「都市伝説」となったという訳です。きさらぎ駅とは何か、はすみはどこに行ったのかなど、当時は多くの憶測を生んでいた。ただ時が経つにつれ、次第にきさらぎ駅の話題は終息していった。
そう思われたが、実はその7年後の2011年にこの物語に進展がありました。2004年の書き込みを最後に消息を絶ったはすみですが、2011年4月、はすみ自身が投稿したと思われる書き込みが新たに発見されたというのです。詳細は以下。
1.2011年4月、消息を絶ったはすみから新たな投稿があった。そしてこの投稿内容が驚きのものであった。はすみはなんとか無事に元の世界に帰ってこれたのだが、なんと、戻ってきた時には一晩の内に7年も経っていたというのです。この時、はすみは7年前の最後の投稿の後に起こった出来事について詳細を語っている。
2.最後の投稿をした後、はすみは謎の人物に連れられどんどんと山奥に入っていたという。なんとか車から脱出したはすみだったが、突如目の前から光を放つ男性が新たに現れた。そして現れた謎の男に「なんでここにいる」と言われ、早く逃げるように言われます。その後の詳細は告げなかったが、気がつくとはすみは自宅の最寄駅にいたと言います。この時、現実世界では7年の月日が経っていたという。最後に、はすみは信じてくれないかもしれませんが、と前置きをしつつ「現在は普通に生活しています」と締めくくった。
この話がきさらぎ駅の話題を再燃させ、新たな世代にも波及していった。この後日談によってさらにきさらぎ駅の謎が深まり、これまでの異世界体験との繋がりも指摘されるようになった。
その後も多くの憶測を生んだのだが、ただ、この話の出典元を探しましたが、2ちゃんねるの掲示板と言われたりまとめサイトのコメント欄と言われていたりと、この書き込みが本当に存在したのかは不明でした。※その為、現在ではこの情報は創作であったとする意見が多い。
きさらぎ駅はあの世とこの世を繋ぐ場所
このはすみの実況スレッドをきっかけに、次々ときさらぎ駅のような異世界駅へ行ったという報告がネット上に上がり始めます。中には明らかな創作と思われるものもありましたが、結果、きさらぎ駅と同じ沿線上に、〖やみ駅〗〖かたす駅〗〖月の宮駅〗があるのではと考察されました。
これらの駅は漢字で、「きさらぎ」は「鬼」、「やみ」は「黄泉」、「カタス」は「堅洲」と表せます。全て黄泉の国、あの世を連想させる言葉となります。また、「きさらぎ駅」や「カタス駅」などは、Googleマップで検索すると、全てどこかしらの池にピンが立つことが話題になりました。池と言えば、古来よりみそぎの場であると同時に、神の通り道であるとされています。このような事から、きさらぎ駅はあの世とこの世の境界にあるのではないかと言われるようになりました。
またさらに、様々な情報を元に、駅から素直に戻ってこられる条件が判明しています。主に「駅で食べ物を口にしないこと」「トンネルを潜らないこと」「名前を忘れないこと」だとされていますが、実はこれらの行動もあの世とこの世の世界に共通する事項となっているのです。
例えば、これらの条件は古事記の「黄泉の国へ」の項と類似性が指摘されており、あの世から帰って来れなくなる事項となっています。このように、きさらぎ駅の体験談には、個人個人の体験に応じて様々な違いがある一方で、共通して「黄泉の国」に関する特徴やパターンが存在する事がわっているのです。
黄泉の国ときさらぎ駅の共通点
実際、2019年に投稿されたきさらぎ駅の体験談で、別の方が「はすみ」らしき人物を見かけたという証言がありました。この話は2011年のはすみの投稿を考慮していませんが、体験者によると、きさらぎ駅に迷い込んだ際、はすみらしき人物を目撃。投稿者は奇妙な駅で髪が抜けガリガリに痩せている女性を目撃したという。
当初体験者は奇妙な駅で幽霊を見てしまったと思ったそうですが、それが当時のはすみの特徴に似ていた事から、この体験者が見たのははすみであったのではないかと囁かれるようになりました。つまり、こちらの世界から失踪している間、はすみはきさらぎ駅を彷徨い続けていたことになるのです。
多くの体験者からの証言によると、きさらぎ駅での時間の流れはこちらの世界とは違うようなので、はすみの特徴が現在でも変わっていないという矛盾は考えられる事だというのです。黄泉の国がどういった場所なのかはわかりませんが、もしはすみが黄泉の国を彷徨い続けているのなら、本当に死後の世界は実在するのかもしれません。ちなみに、死後の世界についてはコチラの記事⇒【死後の世界は実在するのか】をご覧ください。
きさらぎ駅はパラレルワールドなのか
確かにきさらぎ駅は黄泉の国やあの世との中継地点なのではないかと考えられてきましたが、ただ現在ではきさらぎ駅は単なる橋渡しではなく、別の世界そのものとする考えが主流となっています。つまり並行世界なのではないかと言うのです。
選択肢が発生するたびに世界が枝分かれし、横並びに無限に世界は広がるという考えが並行世界という考えですが、実はこの並行世界同士は案外近い距離にあるのではないかと考えられています。
そんな並行世界へ迷い込んでしまったという話は現代でも人気のオカルトですが、実は最近はきさらぎ駅もこの並行世界の一部、つまり別の世界線なのではないかと言われています。
実際この説を裏付けるように、ある体験者はいくつもの美しい駅を通り、そのうちの1つがきさらぎ駅であったと証言しています。そう考えると、日本でも数多く起きている行方不明や神隠しといった現象も説明が付き、2011年の投稿ではすみが戻ってきたという話にも説明が付きます。ちなみに、行方不明事件や神隠しについてはコチラの記事⇒【行方不明事件と現代の神隠し現象の真相】をご覧ください。
確かに2011年に投稿されたはすみの記憶がない事は気がかりだが、実はこの並行世界説は強ち間違っていないのかもしれない。実際、前述したが過去には「きさらぎ駅」を検索すると、なぜか茨城県の筑波大学敷地内の池にピンが立っていた。
まったく関係はないように見えたが、実はこの筑波大学や茨城県のつくば市は政府が推進する科学都市となっている。科学の部門で多くの功績を上げている筑波大学内で並行世界やパラレルワールドといった研究が行われていても可笑しくはないのだ。もちろん、きさらぎ駅とつくば大学の関係性は皆無だが、この筑波大学には多くの都市伝説的な噂が絶えないのも事実である。
まとめ
ネット黎明期に語られたオカルトは、今でも根強く人気があります。興味深いのは「後日談」と称した話が、今でも生み出され続けているということです。はすみがどこに行ったのか、異世界は本当に存在するのかはわかりませんが、もしかすると本当にきさらぎ駅は存在しているのかもしれません。
ちなみに、きさらぎ駅が黄泉の国か並行世界かは不明ですが、日本には黄泉の国へ繋がっているとされる場所がある。それが古事記にも登場する「黄泉比良坂(よもつひらさか)」と呼ばれる場所。
島根県の出雲にあるこの聖域は、古事記に登場するイザナミの死をきっかけにイザナギが黄泉の国へ会いに行く際に通った道と言われており、日本最古の異界への入口としても有名な地となっている。現在、黄泉比良坂にある異界への入口はイザナギにより塞がれているが、興味があれば立ち寄ってみても面白いかもしれません。もしかしたら異界に迷い込めるかも…。※古事記についてはコチラの記事⇒【古事記に記された天皇の秘密とは】をご覧ください。
このような噂や都市伝説は、根拠がないものであり、古事記含めほとんどが創作とされていますが、きさらぎ駅はその背景や真相に踏み込めば踏み込むほど深みがあります。きさらぎ駅ほど更新され続ける都市伝説はないかと思いますので、これからも語り継がれる都市伝説になってほしいです。そしていつの日か真相が解明出来る日が来ることを願っています。それでは新たな情報が公開されましたら随時更新して行こうと思います。