日本では昔から神域や街中で突然人が消える現象が起きている。それが「神隠し」と呼ばれる現象。この現象は日本国内だけでも数多く確認されており、メディアなどでもよく報道されている。
今回は、そんな神隠し現象の真相について、実際にあった神隠し事件と一緒にご紹介致していこうと思います。それではさっそく見て行きましょう。
神隠しとは
※画像引用元はコチラ(神隠しの伝承が残る禁足地「八幡の藪知らず」千葉県)
神隠しとは、突然人が消える現象のことを指します。よく神域や森などで起こる事から、この現象は神の仕業と考えられ「神隠し」と呼ばれている。また、昔はこの現象を天狗や鬼の仕業として考えられていた為、「鬼隠し」や「天狗隠し」とも呼ばれている。また日本の民間信仰においては、実際に神や霊魂が人を連れ去ることを指す言葉としても使用されています。
江戸後期には寅吉という人物が神隠しに遭遇し、天狗の世界に行ってしまったという伝説も存在していますが、このような神隠し現象は縄文時代から確認されています。そんな事から、このような神隠し現象は、日本の伝統的な信仰や文化に深く根付いており、多くの人々がその存在を信じています。そして実は現代でも様々な所でこの神隠し現象は数多く確認されているのです。
現在の行方不明者数について
時代が進むにつれ、現代では神隠しではなく「行方不明」や「失踪」として扱われていますが、警察庁によると、年間の日本の行方不明者数は、約1万2千人程度となっています。ただし、その内訳のほとんどが家出などで自発的に行方をくらませた場合が多いため、神隠しのような超自然的な要素が関与しているわけではありません。
ただ実は日本では年間1000人~3000人が未解決の行方不明になっているという。統計データによると、特に多いのが10代の男性。女性と男性の比率だと、6割が男性だという。あるデータでは、産後の女性が最も行方不明になる傾向が高いという。ちなみに、これは日本国内のデータだが、世界では年間800万人以上の行方がわかっていない。
歴史上最大規模の神隠し事件
大昔から確認されているこのような「神隠し」だが、世界で一番有名な神隠し事件と言えば、グリム童話として残されている「ハーメルンの笛吹き男」だろう。1816年にグリム兄弟によって発表されたこの作品、実は実話だと言われている。簡単にハーメルンの笛吹き男の話の内容を説明する。以下。
13世紀、ドイツのハーメルンという街がネズミの被害に悩ませられていた。そんな時、笛吹き男が現れてネズミを退治した。街の住民は喜んだが、笛吹き男に報酬を払わなかった。これに怒った笛吹き男は、街を去る日、笛を吹いた。すると大きな山が割れ、街の子供達が次々とそこへ吸い込まれて行ってしまった。以降、子供達が街に戻る事はなかった。
このようにハーメルンの笛吹き男の話の内容は、まさに大量児童神隠し事件と言える内容となっている。つまり、歴史上最大規模の神隠し事件と言えるのだ。
ハーメルンの笛吹き男の真相
では、この事件の真相に迫っていこうと思う。いくつかの説があるのだが、最も創作的に考えられるのが「感染症」による人口減少を「神隠し」として表現したという説。実は、当時のドイツはネズミを媒介とした感染症(ペスト)に悩まされていた。これによって亡くなった子供達を「神隠し」として表現したという説です。(当時の感染症についてはコチラの記事⇒【最古の感染症と歴史|人類史上最悪の感染症まとめ】をご覧ください)
そして、もう一つ。現実的で最も有力な説がある。それが、日本人の学者(阿部勤也)によって発表された「集団移住説」です。実は、当時のドイツではポーランドへの移住民が広く募集されていた。
また、当時のドイツは、移住環境が限られており、住人の食料も十分ではなかった。そのため、子どもたちが自ら故郷を去り、新しい環境で生きて行くという選択肢を選ぶのも珍しくなかったというのです。
実際、近年の研究でわかってきた事だが、移住先となったポーランド(一部ドイツ東部)では、ハーメルン地域の子孫が確認されていたり、苗字などの一致も多数確認されているという。つまり、ハーメルンの笛吹き男は神隠しと呼べる話ではなく、当時の時代背景をうまく「神隠し物語」として表現したと言えるのだ。
現代の神隠し事件の真相は「疾病関係」
ハーメルンの笛吹き男のように、昔は「間引き」や「姥捨て」といった風習を隠すために神隠しが利用されていた事もあるが、現代の神隠しの原因は、迷子、家出、誘拐、拉致、疾病関係など、事件や事故に関わる説が多い。
拉致に関しては周知の事実であるが、実は原因の中で一番多いのは疾病関係だという。
年配の方の認知症やアルツハイマーはもちろんだが、実は20代に多く見られるストレスなどが原因で起こる記憶喪失などもあるという。これは解離性障害といって、これが原因で失踪する場合も多いと言う。ただし、これらは神隠しとは少し違うような気がする。最初に説明した通り、神隠しとは「神の仕業」と考えられるモノを指す。
日本で有名な神隠し事件
では、実際に日本で起きた「神隠し」と呼ばれる事件を見てきましょう。
茨城県:伸矢くん神隠し事件
1989年3月7日、茨城県に住んでいた松岡一家は、母の実母が亡くなったことで徳島県貞光町(現つるぎ町)に訪れた。葬儀終わった翌朝、親戚宅の玄関先で伸矢くんが消えたという。家族が伸矢くん(4歳)から目を離したのはたった40秒ほどだったという。
伸矢くんの行方
当初、伸矢くんが山に入ったと思われた為、その日の内に山間部周辺で大捜索が行われた。すぐに県警機動隊、消防署員、地元消防団員に一般市民ボランティアを加えた100人程度が動員された。また翌日には200人程度が動員された。捜索は3ヵ月間続けられたが、結局伸矢くんを見つけることはできなかった。
事件の謎
この事件の最大の謎は「たった40秒」の内に何があったのかという点だろう。警察の捜査でわかった事だが、当時、親戚宅の辺りで不審者や不審な車は一切目撃されていないという。
奇妙な電話
事件の約一週間後、親戚宅に奇妙な電話があった。電話の相手は、伸矢くんの姉が通う幼稚園の同級生の母親「なかはらまりこ」と名乗り、「幼稚園で見舞金を集めたので、どこに送ればいいですか?いつ茨城に帰ってきますか?」と尋ねてきたという。
ただ後日、幼稚園に確認してみるとそんな事実はなかった。さらに、名前も偽名だったという。この件に関しては、親戚宅には警察もテープレコーダーを取り付けていたので捜査されましたが、結局この電話は悪戯と判断され手がかりとはなりませんでした。
高知県:地底湖神隠し事件
2008年、男子学生(名倉祐樹さん)が鐘乳穴を探検中に失踪した。当時、高知大学の探検サークルの5人が岡山県にある鐘乳穴(日咩坂鐘乳穴)を探検しに訪れていた。この洞窟は全長1600メートルもあり、往復6時間ほど掛かる巨大な洞窟だという。学生達はその洞窟の最終地点でもある地底湖にたどり着き、水深32メートルもあるその地底湖で泳いでいた。
そして、一人ずつ地底湖の「奥の壁をタッチする」という遊びをしていた最中、一人の学生が姿を消した。
学生の行方
すぐに30人の捜査体制が敷かれ救助活動が行われた。10日間徹底的に警察や調査隊が洞窟内を捜索するが、結局学生が見つかる事はなかった。
事件の謎
この事件の謎は、残った4人の学生にある。学生が失踪後、残った学生4人は洞窟を出る際にライトやワイヤーなどの機材を撤収してしまったというのだ。また、メンバーの証言には多数の矛盾があった。当時は大々的に報道されたが、残ったメンバーはメディアからの取材を断り、会見も一切開かないという異例な事ばかりだった。
痕跡の消去
事件後、学生という事もあり、日記やSNSなど学生達に関する情報が一切消去された。これはネット民の推測だが、被害者の学生とメンバー内の女性部長が恋人関係にあったのではないかと言われています。
そうなると、被害者の日記やSNSが消去できた理由も納得がいく。また噂では、メンバー内に上級国民がいたのではないかと言われており、その為、今回のような「あやふや」な解決となったとも言われている。実際、事件後、メンバーだった数名の行方が追跡できない。
地底湖の謎
鍾乳洞は元から天然記念物に指定されていたので、市役所への届出が必要な場所でした。そもそもこの地底湖は遊泳できるような場所ではないという。なぜそんな真っ暗で危険な場所で学生達が泳いでいたのかが疑問視されている。※ちなみに、事件発生後、鍾乳洞(日咩坂鐘乳穴)は立ち入り禁止となている。
香川県:タケノコ神隠し事件
2005年、母親とタケノコ掘りをしていた5歳の大西有紀(おおにしゆうき)ちゃんが行方不明になった。※香川県五色台連絡協議会の主催イベント。
タケノコ掘りをしていた有紀ちゃんは、母親と小学3年生の姉と3人で竹林に入っていました。そんな時です。午後1時45分頃、有紀ちゃんが「もう1本取ってくる」と言って、竹林の奥に入っていきました。それから有紀ちゃんが戻って来ることはありませんでした。
少女の行方
事件後、すぐに警察と地元消防団も含めた合同捜索が行われた。翌日には100人~200人体制で広範囲の捜索が行われた。池の水を抜くなどの大規模な捜索が行われましたが、結局有紀ちゃんが見つかる事はなかった。
事件の謎
捜索開始後、2日続けて5匹の警察犬が同じ場所で匂いを嗅ぐのをやめた為、当初警察は誘拐事件と考えていましたが、車両が入れるようなスペースがない事や、誘拐された痕跡がない事から、結局現在でも未解決のままとなっています。
世界で確認されている集団失踪事件
日本で確認されている「神隠し」と言われる事件は規模が小さいが、実は世界ではもっと大規模な神隠し事件が確認されている。ハーメルンの笛吹き男には当時の時代背景などが関わっている事がわかったが、実は19世紀に入ってからも大規模な集団神隠し事件がいくつか確認されている。しかも、それらの原因は解明できず現在でも消えた人間は戻ってきていない。
中でも有名な事件が、ブラジルのオウロ・ヴェルデの村で起きた集団失踪事件だろう。
1923年、ブラジル国内を旅をしていた若者グループが、オウロ・ヴェルデの村を訪れた。若者たちはすぐに村の異変に気がついた。どこを探しても村人が一人もいないのだ。家畜小屋にすらも生き物はなく、村全体が静まり返っていたという。
若者達は手当たり次第村の建物内を探し回った。数日前まで生活していたような痕跡はあるものの、やはり誰一人村人は見当たらなかった。さらに村唯一の学校の黒板には「どこにも救いはない」という文字。さすがに恐怖を覚えた若者達はすぐに村から逃げ出した。
若者達はすぐに当局に連絡し捜索が行われたが、やはり村人約600人全員の行方はわからなかった。ブラジルの田舎では麻薬関連の事件が多発しているので、今回の事件もカルテルが関わっていると考えられているが、当局は結局この事件の捜査を打ち切ってしまった。
実は、この村単位での集団失踪事件は世界各地で確認されており、実際、上記のブラジルの事件に程近い1930年には、カナダ北部のチャーチル近郊(イヌイット移住区)で推定村人1500~2500人程が突然姿を消している。当局が捜索した結果、失踪したのは2ヶ月前と推測できたものの、やはりこの集団失踪についても原因はわかっていない。
まとめ
様々な神隠し事件をご紹介致しましたが、異次元にワープというよりは普通に事件でした。イメージした神隠しとは少し違う気がしましたが、これが真実なのかもしれません。最初に少し説明しましたが、昔から神隠しは「増えすぎたものを減らす」ためや「真相を隠す」言い訳として利用されてきました。
今回紹介した事件にそういう悪意はもちろんないと思いますが、神隠しという言葉を利用して金銭などを得ようとする場合も確かに存在します。最悪の場合は、被害者が殺害されてしまったりする場合もあるかもしれません。それらは誰かが必ず真相を解き明かしますが、そういった事にも神隠しという言葉が利用される事を覚えておきましょう。